シャツジャケットというジャンルと、イタリアの生地工場から発掘されたデッドストック生地のススメ

すごく満足のいくシャツが出来上がりまして、早速に自慢したくなったので今回はブログを書きます。
出来上がってから毎日着てます。臭いもつかない、洗ってもすぐ乾いて、全くシワにならないそんな機能的なシャツです。

そして登山用品店、アウトドアメーカー、アパレルメーカーではきっと誰も使わない生地を使ったからこそ最高なシャツジャケットができました。もちろん山で着用できます。

しつこいくらいに紹介している山荘 飯島のオーダーメイドシャツですが、サイズ見本が揃い、実験的なサンプルづくり、どの生地なら工場との相性が良いのかなどのデータが取れてきたので、ここ最近は実際に自分が着たいと思う形や色で作成するようにしています。

ラウンド仕様 裾に前後差はないのですが、着るとこんな感じで前後差がつきます。

もちろん裾をまっすぐにもできます。

今回は肩幅をそこまで大きくしなかったので、背中はサイドタックに。

実はこの形自体は前から作ることができたわけですが、自由自在に作れる分なかなか選んで頂くことが難しいと思いまして作成例として参考になればと考えてます。ちなみに私は今後も山荘飯島オーダーメイドシャツを利用して勝手に好きなシャツを作っていくはずです。とにかくシャツが大好きでして。

ちょうど洋服を整理する機会があり、ここ10年くらいでも気づけば100着くらいのシャツを着てきたことが分かりました。正直なところファッション屋ならばよくある話かもしれませんが、登山用品店ならけっこう稀ではないでしょうか?山をはじめたのが約10年前くらいですが、そんな山の経験よりもシャツの経験を積んできている山荘 飯島です。

こんな背景がある登山用品店なので、色々とご相談ください。同じような山で着られるシャツはあるかもしれませんが、きっと他じゃ真似できない幅のある提案ができるという点は自信があります。シャツ屋よりもシャツ屋です。
そしてみなさんのアイディアを聞くのもとてもタメになっていまして、さも自分が気づいたかのように接客にも利用させて頂いたり日々進化もしております。初期の頃にオーダー頂いた方には特に感謝をしなければ・・・本当にありがとうございます。もちろんオーダーして頂いた方には皆様に感謝感謝です。

何が言いたいかというと、ようするに自分が山荘飯島のオーダーメイドシャツを利用すると様々なアイディアがあふれてきちゃうぜということ。サンプルという体で自分用に作りたくなってしまうのです。

そして、そんな時に出会ったのがこの生地

ポリエステルとメリノウールのオックスフォード織り

オックスフォードと言ったらシャツ好きにはたまらない生地ですよね。ボタンダウンと言ったらオックスフォードというくらいに慣れ親しんでいるものです。

一応、シャツ屋っぽく説明すると

一般的にはオックスフォードとは太番手の糸がタテヨコ2本づつないし、タテ2本ヨコ1本(例外もあり)交差して織られている素材で、
・厚みとハリがでて、シワにもなりにくい。
・丈夫さと耐久性が高い。
・通気性も良く、さらりとした肌触り。
すなわち、デイリーにガシガシ着用するのに適した織りです。頑丈な素材なので洗った時に絶妙なシワ加減や風合いが出て、雰囲気が良くなることも長く愛用されている部分と思います。

なのでデイリーウェアとしてのボタンダウンシャツに使用されることも多いのです。

そんなオックスフォード織りに加えて、

①混率がポリエステル70% メリノウール30%

②250g/㎡ほどの重さと少し厚みがある部分

③絶妙に生地の値段が高い

という部分に非常に興味を持ち、そして絶妙にどこも使わないなと思いました。

まず①「混率がポリエステル70% メリノウール30%」に関して
ファション目線だと、ウォッシャブルでイージーケアという程度の説明になってしまいます。
メリノウールという部分もあえてうたっている生地なのですが、肌触りの良さをうたっている程度で登山文脈じゃない限りそこまでくいつく人もいないはず。しかしウール100%でもないわけだから、登山文脈としても絶妙に弱い。
でもこの混率だからこそ、速乾性があり、雑に扱っても耐える強度と、全くシワにならない機能が備わっています。リュックの隙間にギュウギュウに突っ込んでも全くシワにもなりません。もちろんウール100%と比較すると防臭性は劣りますが、実際着てみて十分な防臭性はありました。ちょっとズレますがトラベルウェアなら最高かもしれません。
メリノウールならでのは上質な肌触りで、イメージするようなコットンのオックスフォード素材と異なり非常に滑らかなところもいいですね。

そして②重さに関して
ここらへんは昨今の登山文脈だと絶対に使わない部分と思います。登山の人は生地の重さ(目付)に関してはアパレルの人よりもシビアになったと思います。この生地も生地の厚みに対しては決して重たくは無いのですが、登山系の人が使う化繊生地と比較すると2倍程度の目付になります。
でもウルトラライトを否定も肯定もできる登山用品店なので、あっさりとこんな生地が使えてしまいます。厚みがあるからこそ、適度な暖かさをもったシャツジャケット、ライトなアウターとして着用ができるのです。ちょうど今ぐらいの時期の低山登山にもおすすめ。いつもはウールTシャツ+アドリフトシリーズ(オクタ)+シャツみたいな組み合わせでしたが、ウールTシャツ+シャツだけでガンガンせめられそうです。残念ながら真夏には向いてませんが、選択肢の一つとして幅が広がるのでは?なんて思ってます。
この厚みとオックスフォード織が分かりやすく頑丈なところも登山には最適。ガシガシ洗濯機洗いをしても全く縮みもしませんし、毛玉にもなりません。生地自体も抗ピリング(毛玉にならない)ということをちゃんと機能としてうたっているので非常に使いやすく、デイリーウェアとして適し過ぎています。

私は汗をかくような山行には極力シェルは着ません。なぜならシームテープが劣化するので必ず洗わないといけないから、めんどくさいからです。シャツというのは気にせず洗えますので、そんなシェル代わりに最適ですね。

こんな感じでまくっても全くシワが入らない。
実は女性の着こなしも想定したつくりです。品の良いコンサバ系を意識してるとか・・・ベージュとか白のカッコいいスカートとかと合わせるとカッコいい仕事着としてもいけるでしょう。

最後に③価格面
実はここが一番どこのメーカーも使わないと思わせる部分。
山荘 飯島オーダーメイドシャツで¥27,500(税込)*2023年3月時点(変更となる可能性ございますのでご了承ください。)
一般的なアパレルメーカーやアウトドアメーカーならばシャツにすると、25,000~35,000くらいの価格帯になるような
素材と予想します。なので絶妙に生地値が高い。①、②の理由と合わせると分かりやすく伝わる文句がかけるのでどこも使わないはず。
山荘 飯島はオーダーメイドで1着から作り、登山とファションの文脈の間に立て、なんならこの生地の否定も簡単にできるので、この生地が使えるのです。あくまで一つの選択肢に過ぎないわけですからね。そしてライトアウターとして考えるならば真向勝負ができる価格と思います。(*しかも「オーダーメイドなのに」良心的な価格にしているという部分も伝わればうれしいところ・・・)

一応、シャツの細部を説明すると

イメージとしてはこの素材と色がマッチして開襟だけどCPOシャツ風に仕立てました。身幅も肩幅もいつもよりちょっとだけすっきりと。このサイズ感なら来年以降も長く使えそうです。

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開襟だけどラウンドという部分。これはフリーハンドみたいな感じで襟型をつくった自信作。

*両ポケットフラップ付きはオプションです。+¥1,815(税込)かかります。ご要望にお応えしてこんなのも作れるようになってます。

ポケット無しならよりドレスなアウターの雰囲気になりますね。

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最大の特徴は一番上まで閉めた時の襟と襟のスペースがほぼゼロになるところ。このおかげでドレス感が漂いますし、一番上まで閉めると異なった雰囲気で着用できます。開襟シャツとしては珍しい部分なのでお手持ちのものと比べてみてください。もちろん首まわりも調整できるのでご安心を。

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衿も、裾もラウンドなので、カフスもラウンドに。ここらへんの形状を選ぶのも山荘 飯島オーダーメイドシャツの醍醐味。けっこう迷いますが、しっかり選ぶと自分だけの楽しみみたいな感じで出来上がった時がうれしくなります。
そして今回は通常よりも1.5㎜ほど大きい11.5㎜の貝ボタンを使って、よりジャケットっぽい仕上がりに。
カフスまわりも調整しましょう。

色展開は4色
絶賛販売中の迷迭香のナイロンパンツと合わせればガンガン登山へ行けます。この合わせなら誰とも被らないでしょう。

オンラインストアはここからどうぞ

全身黒はNGとの声もありますし、むしろ私も否定してた時期ありますが、カッコつけたい登山用品店なので晴れた日の早朝からの低山ハイクで気をつければ良しとしてください。

街でも着られるのではなく、街でもファッションとしても正解なのがこのシャツの強みです。チノパンやスラックスとも相性はバツグン。仕事にもよりますがビジネスでも全く問題はありません。なんならそっち寄りな雰囲気ですからね。

そして今回、タイトルにシャツジャケットという記載がありますが、

「シャツジャケット」という部分にも重要な秘密があります。

この生地をジャケット工場が、ジャケットとして作成したら下手したら5万円~8万円くらいになってしまうでしょう。
そこには工賃の仕組みがあるのです。ジャケット工賃と比較するとシャツ工賃は安いのです。

やたらとシャツ工場で作ったアウターみたいなのを目にすると思いますが、それってジャケットとして勝負した時に安く見えるというからくりがあります。もちろん縫製や裏地の有る無しなどのつくり込みはジャケットとは異なりますが、用途として変わらなかったり。なのでこんな感覚でオーダーメイドシャツの仕組みを利用してもらうと、実に有意義で価値あるシャツジャケットが作れてしまうのです。

ちなみに化繊生地だとこんなのもあります。

ストレッチ性と撥水機能をもったポリエステルリップストップ

これもウィンドシェル代わりにおすすめ。扱いやすく評判も良いです。

そして、

ここから紹介するのがイタリアの生地工場より発掘されたイタリア製のデッドストック生地

山荘 飯島では全く売れていない謎の生地が吊るされてますが実はそこには老舗テーラーもびっくりな生地があります。
(ちょこっとは売れてるのですけどね。)

ここからはもう登山関係ないです。もはや飯島ではなく、店主田窪の趣味なのでスルーしても良い話。
基本的には山シャツを作りにお越し頂けているのだから売れないのは当然と思います。でもすごいんだよということを伝えたく、ときおりブログで紹介していきます。そしていつかは自分用に作ってしまうのでしょう。


〇シャツジャケットを作ってほしい生地

イタリア製のシャツ用リネン素材は目にしますが、今回紹介するのはジャケット用のリネン素材

その1 リネン ダブルフェイス ¥27,500(税込)*2023年3月時点 変更となる可能性がありますのでご了承ください。

重厚なリネンでシャツジャケットを作るのはどうでしょう?ブルーとネイビーどっちを表にしてもOK。

イタリア製の重厚なリネンなんて良いスーツ屋でもお目にかかることはできません。しかもただの重厚なリネンではなく、ダブルフェイス。まず見たことない。本来は貼り合わさった生地を剥がすなどして特殊な縫製をする生地なのですが、そこはごめんなさい。シャツ縫製で進みます。きっとはじめは固いシャツジャケットができあがるでしょう。でもガンガン洗って色落ちさせたら、とてつもなく雰囲気がでるシャツジャケットになること間違いなし。

ちなみにこの生地でテーラーメイドなジャケットを作ったら既製服でも10万円以上しちゃいます。なぜ分かるかというと仕入れた生地屋で働いていたから。しかも7年前くらいの話。今ならこんな生地が使えるメーカーは果たしてあるのかな?と思うくらいな凄まじい生地です。でも山荘 飯島なら¥27,500(税込)でシャツジャケットが作れてしまうのです。たぶん日本ではお目にかかれない唯一無二のものになるでしょう。

その2 リネン ウインドペーン ¥27,500(税込)

これも両面使えます。太番手の糸で織られたリネンらしい表情のある素材

キングカズや長友選手とかが着てそうなイタリアンなジャケットに使われるような生地です。既成服ならばラルディーニとかそこらへんかと。これも同じくガシガシ洗って味わい深いリネンのシャツジャケットにしてしまいましょう。

どちらの生地も春から秋に最適です。
ファション的にもカジュアルからドレスへの移行期間のような感覚ですので、だったらシャツジャケットというジャンルは今の世の中的にもちょうどいいかと。値段ばっかり言うのも恥ずかしい話ですがこの値段でも、とてもとてもお得な価格です。

シャツジャケットはとにかく便利で温度調整の難しい時期、春先から秋まですごく活躍します。そしてシャツでもあるので冬場はインナーとしても活用できます。シャツだと少し寒い、上にもう一枚着たいというような時に非常に便利でこれ一枚で解決させます。TシャツやロンTの上に羽織ればいいわけです。

登山用品店という感覚ならば、きっとこの厚みと重みのある生地は目に入らないと思います。でも厚みがあるからこその頑丈さがあり、新しいレイヤリングと着こなしが提案できると思います。真夏にはさすがに暑いけど、一つの選択肢としていかがでしょうか?

そして服好きな人へ、イタリア製デッドストック生地も是非見に来てください。

さらに言うとここまでブログを書きましたがこの素材も一つの選択肢にしか過ぎないのが山荘 飯島のオーダーシャツです。重たい生地を否定してぜひぜひ軽い生地も選んでほしいです。生地一つ一つに思い入れがあるのでとても大変です。

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