経堂で作ったワークでもないアウトドアでもないナチュラルでもないエプロン

山荘飯島オンリーワンもしくはオンリーツーくらいな商品の取り扱いが色々はじまってます。
そんな商品を取り扱せて頂けたおかげで、お客様へはとりあえず新しい発見をご提供できるようになってきました。
勝負の4月と自分で言ってるわけで、けっこうおもしろい店になってきてますよ。まだ足を運んだことない方、以前に行ったことあるよという方も、物珍しさでぜひ寄ってみてください。

そしてそんな4月の目玉となるオリジナルシャツの販売も既にはじめてます!!


これまた商品、仕組み含めて登山用品店ではやっていない絶妙なところをつきました。他じゃやってないことを追い求めすぎて、いったい誰に響くのかと気苦労が絶えない山荘飯島ですが、全てはお客様の為!とも言い切れなかったりもするのですけど・・・やっぱりその部分が伝わった時はうれしいので気に入ってもらえたましたら幸いです。今回はどなたにも分かりやすく響くようなシャツになってますので。

少しづつですが足を運ぶ価値をあげてます。

そんなシャツの紹介といきたいところなのですが、本日のブログは思いの年月だけなら一番と言っていい、10年前から考えていた構想がついに実現できたというものを紹介。色々な縁あって想像以上の仕上がりになってます!

山荘飯島オリジナルエプロン

ついにこの時がきてしまいました。店をはじめてなくてもやりたかったこと。

私自身エプロンへの思い入れは誰よりも持っていたと思います。

まずは証拠として

これは2013年に発売された雑誌GO OUTのキャンプ特集

その中からこの文面をみてください。

田窪さんお気に入りというエプロン・・・また言いますが私は田窪さんです。
既にこの時からエプロン構想ははじまってました。

きっかけは友人がバーベキューの時に付けていた際にその便利さと格好良さに目を奪われまして一瞬で購入したこと。そこから我が物顔でエプロンは最高ですと唱え続けることになりました。

まあようするに二番煎じなわけですが、意外とそんなもんだったりするのが山荘飯島なのです。でも独特で幅広い解釈と柔軟な対応というところに自分の良さがあるように思ってます。だから私はセレクトショップをやることになったといわけなのですが、そんなこんなで、キャンプにエプロンは田窪さんの代名詞となり、今に至ります。

そんな最高なエプロンも実は買ってすぐに日本で見なくなりました。そこから様々なブランドのエプロンを探しに探しましたが納得いくものが売られていなかったので、そこに勝機を見出した25.6歳。漠然と自分でエプロンを作りたいと思うようになりました。
そこから生地屋を経てアパレルメーカーで働いたおかげで、当時の構想とは比較にならないクオリティで「商品」として胸を張ってお届けできるものが今回できました。愛用していたエプロンをベースにより機能的に使えるようにしてます。

おそらくここまでエプロンの細部まで語るような店は無いと思うので、物珍しさと合わせて最後までお付き合いください。

実際に作るにあたって工場探しからはじめたわけですが、経堂にある洋服のお直し屋ELKさんとの出会いが全てのはじまり。おかげで想像以上な出来栄えのエプロンとなったのです。

まずは「ELK」に関して
私みたいな小規模な依頼だと、一般的な工場には数量の関係で相手にされないし、パターンだけを別で正規な依頼をして作るのも費用がかさんでしまい、まともな金額で商品を販売することはできなくなってしまいます。

エプロンは作りたいけど、売れないと意味が無い・・・ということでパターンも作れて縫製もできる工場を探そう。しかも規模は小さいところ。そんな条件にあったところを独自の嗅覚で探していったわけです。(この嗅覚に関しても理由があるのですが余計な話なので、省きます。生地屋時代の先輩方しかわかってくれない感覚。)

何件か探していく中で見つけたのが山荘飯島からもほど近く、経堂にあるELKさんでした。
ダメ元で電話をして伺わせて頂きそこでパターンも引けて、縫製までできるということが分かりました。ここまではある意味で予想通りでしたが、ここからが予想外。

代々木上原に会社を構えるサンプル屋という背景をもっていたのです。

サンプル屋というのはアパレルメーカーがコレクションを発表する際に利用するような縫製工場です。展示会サンプルやコレクションサンプルといわれる商品を売る為の見本をつくってます。分かりやすく言うと、どんな商品もパターンも含めて一から作り上げる技術がある短納期かつ何でも屋的な工場です。

しかも話を聞くとサンプル屋歴40年以上、学校を出てから独立して自分の腕だけで初めからやってきたという異色な経歴(サンプル屋は何でも作れないといけないので、普通は縫製工場で修行するなど様々な経験を積んでから独立します。)
そして今でこそ代々木上原はお洒落な街でアパレルメーカーやそれに関連する会社も多いですが、当時は何もなかったとのこと。サンプル屋はELKさんだけ。アパレルというイメージも無い中でELKさんが先駆けてご夫婦で会社を構えて、名だたるファッションブランドの黎明期を支えた影の功労者だったのです。しかもバブル時代を経験しつつ、海外へ縫製の生産拠点が以降していき、多くの工場が廃業に追い込まれている中で未だに代々木上原で会社を構え続けているという凄さ。
昨今のアパレル縫製業の事情を知ってる方ならより分かってくれると思いますが、この続けているということの偉大さがその「腕の良さ」を物語っていますよね。そんな傍らで奥様がELKとしてお直し屋もはじめました。若かりし頃の苦労話なんかも少し聞きましたが、時代を感じながらも本当に感激してしまいました。やれば何でもできるということを地でいってます。

この出会いは偶然だったのですが想像以上な背景にびっくりしながらも、色々と話をして熱意を伝えさせて頂き、とても気さくな人柄な方でありがたいことに小規模な依頼でも快く承諾して頂くことができました。正直、相手にとってはメリットの無いような話にも関わらず。

そう、こんな経緯もあってエプロンにしてはもったいない過ぎるとんでもないベテラン職人が作っちゃってます。ちょっとカッコつけて言うならば、一人の職人がパターンを手掛け、裁断から縫製までする「丸縫い」ということ。しかもまぎれもないメイドイン経堂です。

ここまではエプロンに至る過程とその工場の説明でした。


ではここからが商品紹介 ELKさんの腕と合わせて山荘飯島のこだわりを解説してきます。

①生地「VIBTEX コットンツイル」を使用


VIBTEXは抗ウィルス機能が備わった生地です。実はこの生地、コロナ禍において流行ってました。そして流行ったということは若干流行に陰りが・・・誤解があるといけないので、言い換えれば定番化したという印象でしょうか。
当時はコロナが未知のウィルスだったので衣類の除菌まで敏感になっていくなかで、画期的な生地が発売されたため、お洒落といったらchelmicoを使って大々的にプロモーションもしてました。

現状はある意味で冷静になったのでそこまで気にする衣類を作るメーカーも少なくなってきています。
ではなぜそんな生地をあえて今使ったのかというと、

以下、VIBTEXの効果をうたったホームページを引用させて頂きました。

天然鉱物ミネラルが、空気中の酸素と水分と化学反応をし、OHラジカル(分子)を生成します。このOHラジカルの優れた酸化力により、繊維上の特定のウイルスの数を減少させると共に、細菌を減少させることで臭いの発生を防ぎ、かびの発生も抑制します。

これエプロンに最適じゃないですか。天然ミネラルの化学反応なら抗菌加工とも異なり、持続性も高いでしょう。
より機能性あるエプロンとしてアップグレードされたのです。

私はエプロンを主にキャンプで使用していたので2日間はそのまま着用します。エプロンで手を拭いたり、汚れを拭いたるすることもあるの中途半端にぬれて生乾きみたいなこと多いです。そんな時に上記効果があればかなり機能的でだということでこの生地を採用しました。朝から晩まで使う日常にも普通に効果的ですよね。

そしてコットン100%であることも重要。

まずキャンプで使用するにあたって天然素材100%が大前提にあります。なぜなら焚火をするからです。キャンプで薪が爆ぜて火の粉が飛ぶ時が多いです。化繊だと穴があきます。最近では難燃性素材もでてますが、シンプルに天然素材なら溶けて生地に穴があくことはないですし、常識の範囲で火に近づけば簡単に燃えることもありません。
逆に焦げだりしても、思い出になるのでそれもまたいいと思います。あえて生成りにしているのもその理由からです。

では麻素材でもいいのでは?と思うかもしれません。特に麻は抗菌性もあり、一般的には乾きやすいので最適です。
でも麻はナチュラル感がでてしまう。そこのジャンルとはあえて避けたかったのでナチュラル感の無い素材としてこのコットンツイル素材を選んだのです。

生地も適度な厚みと、適度な柔らかさもある。手を拭いた時に濡れるけど厚みもあるのでビショビショにもならず、かといってアウトドア感満載で分厚くて固すぎるわけでもない。
しっかりとした素材感ながらも、日常使いも想定した絶妙な厚さもしくは薄さとも言える生地という点でもこの素材を採用しました。

②紐は1cm幅 杉綾織の袋紐を使用。


ここはかなり悩み、とにかくこだわったポイント。
ワーク感、アウトドア感のあるエプロンは3cmくらいの太い幅の首紐、腰紐なイメージです。ワーク感、アウトドア感を出したくなくちょっとやぼったい雰囲気になるので、今回は1㎝幅の紐をつかってすっきりと上品に仕上げてます。杉綾織模様も1cm幅だと適度な主張でちょうどいい。何気ない部分ですが、ここだけでもかなりエプロンのイメージが異なると思います。

しかも袋紐という筒状になった紐をつかっているので生地2枚分の厚みがあります。1枚だと安っぽく薄くペラペラなので洗濯した際に紐が丸まってしまったり、首にも食い込みやすいので長時間使用してると痛みがでてしまいます。
厚みもあるのに柔らかい素材なので首にも下げるのは最適な上、結びやすい。

ここで、ちょっとした話を。
こういった紐を共地(エプロン生地)で作れば、紐を別で買うコストよりも安くなるので良いですが、工場の手間を考えると圧倒的に今回のように出来合いの紐を買った方が楽なのです。
生地から細い紐をつくるときは端を縫ってから、縫い目を隠すためそれを裏返す作業が必要になるので、長くて細い紐だととんでもなく大変なのです。前職でよく工場にその大変さをコツコツと教えてもらったので、今回はあえて出来合いの紐を買いました。実際の苦労を考えて依頼するのもご近所さんならでは。メイドイン経堂の秘密です。

でもそのおかげアクセントカラーと、より上品さと高級感が増すことができました。
正直この紐のコストは高かったです。でも分かる人には分かる良い紐を使ってます。

③日本の職人の気遣い
以前のAfterglowの紹介ブログで中国製はきちんと管理がすればいいものが上がってくるという話をしましたが、日本製は縫製経験が無い私にとっては非常に重要なことです。

紐の話などうわべだけのところはなんとなく分かるのですが、やっぱり実際に縫えることとはまた違います。

・例えば、このポケットの内側


生地をたたいてつけるポケットなのですが、内側は見えないので縫い代の始末はしていないで切りっぱなしなケースも多いです。ベースとなったエプロンもそうでした。
でも、それだと汚いということで縫い代をロック始末し、糸くずが出ないような作りにしてます。ここも打ち合わせの際にせっかく作るならやってあげるよという話になり対応してもらってます。本来はこういった始末は地味に工賃に反映される部分なのですが・・・ありがとうございます。

・さらにこの輪っか部分。

カンヌキで補強されてます。

この部分は今回のエプロンの最重要ポイント。ベースとなったエプロンは首紐が両側固定されていて紐の長さの調整ができませんでした。そのため小柄な人が付けると長さが合わずちょっとサイズが合わないなという印象でしたので、左のみ輪っかをつくり、ここに首紐を通して結び、長さを調整することで男女問わず本当にフリーサイズで着用して頂けるエプロンになったのです。

そしてこの紐部分は首紐、腰紐ともにカットした端をエプロン本体の縫い代におり込む仕様にして、強度と端の綺麗さを両立させている始末です。

こちらもカンヌキもされてますので強度も安心です。

でもこの輪っかの部分は紐2本分をエプロンの縫い代にしまいこまないといけないのですが、そうすると左右の生地の厚みが異なってしまうのです。ここは胸にあたる部分になり、この微妙な厚みの差が良くないでしょうということで画像のような構造になってます。1本分のみエプロン生地の中に入れ込んで、もう1本は生地と紐の間でおさえてます。
これで十分な強度も保てるので、着心地を優先してこんなつくりになってます。

ここらへんが日本のベテラン職人さんの気遣いというわけです。一見分かりませんし、わずかな差かもしれません。でもたかがエプロンと言わずに細部まできちんと手を抜かずに対応頂いています。

もちろん縫製の綺麗さもばっちり。出来がりをはじめて見た時の綺麗さにびっくりしたくらいです。

この縫製技術のおかげでよりワーク感、アウトドア感が抜けていき想像以上の仕上がりになってしまいました。

④丈の長さ


コートとエプロンは丈が長ければ長いほどお洒落だと信じている山荘飯島です。
実はこの丈の長さがこのエプロンの最大の特徴かもしれません。ベースとしたエプロンと同じサイズなのですが、ここまで丈の長くシンプルなエプロンが本当に無かった。この長さのおかげで雰囲気よく着こなせます。
長いと言っても1m、長すぎるわけではないので小柄な女性でも問題なく格好良く着用頂けるのでご安心ください。

ポケットはこんな形

ポケットの角も補強含めて綺麗なステッチ。エプロンとは思えません。
バーベキューの時は、自分だけの調味料や箸や皿も。ライトやスマホ、タオルを入れたり・・・深さがあるのでキャンプの時はかなり便利。

この形も実は無駄なく生地を使うための秘密です。STATICの話じゃないですが、このエプロンは生地を余すことなく使用している為、裁断ゴミがほぼでません。実際に作るにあたって色々と見ていたら、実はポケットの形含めて丈の長さも生地を最大限に使用するための理に適ったサイズだったのです。アパレルメーカーにいなかったら気づかなかったことですね。
私の場合は環境に配慮したわけでなく、コストを下げるために生地を無駄なく使用した結果ですが。無駄が無さ過ぎて本当に余剰の無いギリギリのm数を購入した為、なんとELKさんが1枚づつ裁断をしてくれてます!ふつうは0.5~1mでも余裕をもって生地を購入します。

通常、裁断というのは生地を重ねて一気にカットします。その方が当然手間もかかりません。
でもELKさんは私の事情も考慮して欠品したり無駄が出たらもったいないでしょということで、わざわざ手間と時間をかけて1枚裁断で仕上げてくれているというわけです。1枚裁断は生地を重ねないため全くずれないで裁断ができるという、より品質が上がってしまったのです。
そんなエプロンになっちゃってます・・・これぞ日本の職人の気遣い。むしろ人情というやつです。本当にありがたい。

腰紐も十分な長さがあるのでぐるりとお腹にまわしてつけてもかなり余裕があります。

そして仕上げに左胸に山荘飯島ロゴワッペン。これが無いとはじまりません。


世田谷の刺繍屋で作ったので、このエプロンは世田谷区内で完結させたつくりになってます。
こっちの勝手な思い入れですが、より一層が愛着がわいたエプロンになってます。

そしてワークでもなくアウトドアでもなくナチュラルでもないエプロンに仕上げたおかげで、使用する人によってどんなシチュエーションにも対応でき、シーンによってワークでもありアウトドアでもありナチュラルでもある山荘飯島なエプロンができあがったというわけです。意外とシンプルな形のエプロンで安っぽくないものは無かったりします。

これが10年分のも思い入れが詰まった山荘飯島オリジナルエプロンです。
経堂の店が経堂で作ってます。

皆さんのお気に入りのエプロンになったらうれしいです!
紐の色のみ異なるチャコールグレーとレッドの2色展開。お好みでどうぞ。

オンラインストアにもアップしました。以下URLクリックして頂くと商品ページにアクセスできます。

https://sanso-iijima.stores.jp/items/626769357d116146b9b595a9 ←チャコールグレー

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