「Caledoor」と「Rambling」と英国最高峰をconqueredした話

まずは英国の最高峰をconqueredした姿をお見せします。

響きの良さで英国と書きましたが、ここはスコットランド。イギリスで一番高い山 ベン・ネヴィスの山頂にて。

これは2015年8月頃 7~8年前の山荘 飯島ではなかった私です。生地屋からアパレルメーカーへ転職が決まったなかでの夏休みの最中。5頭身になっているのは2m近いスコットランドの人に鋭角に写真を撮ってもらったおかげ。

山へ行かない登山用品店な私も海外トレッキングの経験がありました。

もちろんパンツはプロモンテ。スコットランドでプロモンテを履いた初の日本人だとか・・・?

このアークテリクスのシェルのカッコよさを超えるものはいまだに無く、こんなシェルを取り扱いたいと思ってます。

ホカのトレランシューズを買うか迷って、アプローチシューズ。当時の私としてはなんとなくアプローチシューズの方が硬派で山らしかったりしたわけです。

そしてこの為にハイパーライトマウンテンギアの黒いキューベンファイバーのザックを購入。白いキューベンより黒だろ!(当時はキューベンという言い方でしたよね。)というこだわりを見せつけたいと思ってね。そしてそんなこだわりはすぐにヤフオクで売って、HMGより最高なものを見つけたと思って買ったモンベルのザックにて海外トレッキングにのぞみました。それが正解だったのかはいまだに分からないけど。

こんな感じで一応、私も今の流行りにニアミスしていてちゃんと時代を追っていたのですが、リアルな服装はこんなものだったわけです。海外旅行には少しのUL文化が最適なような気もして道具を買い換えようと思ったタイミングだったような。でも結果的にこんな感じです。

自分の肌感的には2014、5年くらいから今のガレージブランドとかULっぽい感じが広がった気もします。そう考えるとここ数年の加速は凄いですよね。この頃店をはじめていたらきっとガレージブランドばかりをそろえた店になっていたかもしれませんが、アパレルメーカーに働く前なので知識も経験もなく、きっと埋もれていたでしょうね。

こんな風に買った洋服のエピソードなどは次から次へとすぐに思い出せるのですが、山行などの細かい情報は忘れてしまっているので思い出しながらブログを書くことにします。

新しいブランド「Caledoor」の取り扱いが決まった日から私はこのブログを書こうと思っていました。

なぜならCaledoor(カレドアー)は、イギリスの大衆文化として根付くウォーキングによるツーリズム「Rambling(ランブリング)」を背景に、2022年に誕生したブランドです。なので英国最高峰をconqueredした男ならば取り扱うしかないわけです。と言っても行ったのはスコットランドでして広い心で読んでみてください。

エディンバラの丘の上にて ザ・スコットランドです。

まずは、なぜスコットランドまで登山へ行ったかというと、

このころはイタリアから生地を仕入れる会社で働いたのですが、その影響をもろに受けてこの前年にイタリアへ一人で旅行へ行ってきました。学生時代に海外へ行くこともほぼ無かったので20代後半ながらバックパッカー的なものにあこがれてというやつですが、その時に普通に観光するだけではけっこう飽きることに気づきました。またスマホさえあれば何とかなることも分かり、案外その場で行先も宿もどうにでもなると思ったわけです。グーグルマップ最強です。

なので、次の年は自分の趣味である山を絡めて海外に行こうと決意したというのがおおまかなきっかけです。
アメリカのトレイルも頭にありましたが、もう少し気軽かつ、誰も行ってないようなところは無いかなあと模索。
仕事柄ヨーロッパこそ最高だぞみたいな洗脳をうけていたので、ヨーロッパかつ、せっかくならその国の一番高いところへ行きたい。かといって本格的な登山すぎるのも大変だ。所詮夏休みを利用した旅行なので。

そんな時に出てきたのがスコットランドだったのです。あのシュンスケナカムラが所属したセルティックもあるしね。

もちろん行ってきました。当時もナカムラのおかげで日本人と言ったら歓迎されて、警備員の人も慣れた手つきでスマホで日本語翻訳してくれてスタジアムツアーを案内してくれました。
古橋、前田、旗手とかよりも先にベンチに座ってきました。

最初にネタバレをしてしまうと、最高峰と言いましたがベン・ネヴィスは1,344m。

でも海外で一番高い山へ登ったことには間違いないわけで、自分で言うのもなんですが珍しい経験だと思います。これが私の海外トレッキング。ここらへんのチョイスは山荘飯島にも通ずるところかも。少し目線をずらして、小ずるく目立とうとしたわけです。でもニッチ過ぎてたいてい目立つことはないんですけどね。なのでこんなブログを書く場があるのは8年越しにうれしいです。

山の話へ戻すと、とりあえず高さだけ聞けば行ける気がしますよね。

そんなノリで決めたのですが、いかんせんベン・ネヴィスの登山の詳細情報があまり無かったので現地へ行けば何とかなるということで行ってきました。書いていくうちに色々と思い出して書くことが増えていってしまいそうなので詳細は控えますが、ようするに現地へ行ったらなんとかなって山頂へ立つことできたというわけです。

ベン・ネヴィスのあるフォートウィリアムまではセルティックパークのあるグラスゴーから約3時間45分で都心から離れたところにもあるので、なかなかついででは訪れにくい場所にあります。なのでガイドブックにも少しだけ掲載されている程度なのです。

そこから登山口へアクセスするわけですのでフォートウィリアムまではもちろん前日入り。


のどかな街でした

登山口まで公共交通機関でアクセスする方法を探すのが大変だった思い出はあります。日本でも車が無いハイカーは都合良い時間に登山口にアクセスして帰ることは大変だと思いますが、その感じです。あるにはあるけど早朝から登るためにはどうしようということになり、結局タクシーと徒歩でなんとかしたわけです。

当時の地球の歩き方にも掲載はされていたのですが、公共交通機関を使ったアクセスの詳細がよく分からない。

早朝に登山口へアクセスしてしまえばこっちのもんです。
でも注意点として、高さは低いのですが日本の登山と異なり、緩やかな傾斜なのがスコットランドの特徴です。そして、フォートウィリアムは海に面した街なので、ほぼ海抜0mくらいから登るみたいなイメージです。なので標高差はあります。往復16km 7~9時間ほどかかるような行程です。とは言え、慣れた人なら問題ないですね。

事前に日帰りで行けるだけはちゃんと把握してました。ここらへんも踏まえてスコットランドだったということです。

この写真も、今見るとスコットランド感満載ですね。

やっぱり羊がいるなあと思って歩いていたら案の定間違った道を進んでいたことが分かり、

たしか、ここらへんからが登山口
後々考えたら、分かりやすい道なので普通の人は間違えないと思います。
緑の濃い広い道を歩いてきます。

ここで旅行中、唯一の日本人の方と遭遇したのを思い出しました。たしか定年を迎えたご夫婦でした。
話をさせてもらったところ、昔スコットランドに住んでいて(日本大使館で働いていただったような?)、ベンネヴィスに登ったとのこと。その時の景色が忘れられず、どうしても奥さんに見せたくてご夫婦で登りにきたということでした。

めちゃくちゃ良い話だったのですごく覚えていて書いてしまいます。
山の良さを集約したような話だし、初対面の人とこんな話もできるのが山の醍醐味です。

山頂が近づくと、こんなザレ場みたいなところを登っていきます。
山頂付近は雪が残り。ガスってました。年間で60日しか晴れ間が見えないとのこと。気温も5℃くらいなので、ちゃんと防寒具が必要。
これが山頂だったような・・・

この上に立って写真を撮ったような気もします。

ちなみにスコットランドは日本とは異なり、日が沈むのがとても遅くのんびりと歩くことができるので安心感もあります。これも登山を決めた理由でもありました。

*夏は朝4時~夜10時ごろまで明るい!

ちょうど夜10時ごろの街中で撮った写真です。日本でいう夕方くらいな明るさですね。

あらためて振り返ってみても、異なる登山文脈を感じることができる良い経験となりました。

conqueredしてきた記念に買ったTシャツ。そうなんです、このせいでタイトルがconqueredに。長い道のりでした。

「conquered=征服する。攻略する。」

こんなお土産Tシャツ作りたいです。

途中、山行を供にしてくれたでっかいスコットランドの人はワインボトル片手に登山をして、山頂に着くと同時に開けてラッパ飲みしてました。そんな人に撮ってもらったのが冒頭の写真です。なかなかに異なる登山文脈ですよね。

そのくらいのノリで現地の人は割と軽装で登り、雨が降ろうが特に気にせずに。

きっとこれがRambling文化が根付いているからなのだろうと今さらながら勝手に解釈してみました。

ようやくRamblingの話へ。

私はCaledoorの展示会へ伺い、はじめてRamblingという文化を知ったのです。

*展示会の際に資料を撮影させて頂きました。

どういうノリかというと、夕飯前に家族で散歩するみたいな本当に気軽なノリみたいで、当たり前の文化すぎて特別に話すような内容でもないみたいな反応らしいです。

ちょっと調べてみたら、今日本でもフットパスという言葉が注目されているみたいですね。調べたら色んな記事が見つかりますのでぜひ見てほしいと思います。

見返してみたら当時持っていった地球の歩き方にも掲載されていました。時間が経って気づくことありますね。

以下BE-PALの記事にも掲載されていて参考になりましたので、リンクを貼っておきます。

Caledoorの展示会の際にもイギリスのそこかしこにフットパスと呼ばれる歩くことを楽しむ遊歩道があり、スマホで簡単にフットパスのマップを見ることもできて、文化として根付いていることを教えてもらいました。

UL文化の広がりとともに、アメリカのロングトレイルが主流というような風潮がある中で、このイギリスのRambringは私の中ですごく新鮮に感じたというわけです。世界は広いです。

(*誤解を招くと怖いので、アメリカのロングトレイル文化はとても素敵だし、行ったことなんてないので憧れと尊敬しかありません。雑食系登山用品店なのでなんでも好きということです。)

Ramblingはまさに新しい文脈からの山に通ずる提案に思います。登山とは少し異なりますが、長く歩くことを楽しむということは東京の登山用品店である山荘飯島としてもぜひ便乗しながら提案していきたいと考えたわけです。

みんな公園で堂々と寝そべって過ごしてました。ここらへんもランブリングに通ずるのかな?

*以下はブランドのホームページより引用

Caledoorはイギリスで脈々と受け継がれてきた歩く旅、ランブリングを掘り下げ、現代の都市生活に馴染む “歩くことを楽しむための道具”を提案する。

そんな背景を持ったCaledoorですが、何がすごいかと言うとすごく「ファッション」なところでしょう。

ここからはファションブログです。ようやく本題です!
商品紹介をしたいからこのブログを書いていますからね。

Caledoorの取り扱い店舗一覧なんか見たら、山荘飯島なかなかやるじゃんとファッション好きも納得するはず。「今」のお洒落な洋服屋が並んでまして、そこに山荘飯島という名が連なっているのでちょっとした違和感と面白さがあり、個人的にはうれしさもあったりします。

展示会へ行ってまず思ったのが、クラシックな説明とは裏腹に、服のつくり込みがすごく、やりたい放題やってるなあというのが商品をみた正直な感想でした。デザイナーも著名な人で、ファション好きなら間違いなく興味を持ってくれるはずですし、運営している会社がこれまたアパレル業界の人なら誰もが知っているイギリスを背景にもった会社なので、やっぱり大手はすごいとあらためて思い知らされました。

相手にとっては金額的なメリットはほぼ無いだろう山荘飯島が取り扱わせてもらうからには全力で紹介しなければならないわけで、こんなブログを書いているということも付け加えておきますね。これが小さな店の生き残る術でしょう。声をかけて頂けて感謝です。

そんなCaledoorから、ブランドを代表するランブリングスモックを紹介していきます。

*画像によって色が異なりますが、全体写真が実物に近い色です。

ただただ、カッコいいスモックです。四角いシルエットはファッションらしいサイズ感で、時代に合っていて、これ一枚で十分と言えるアイテムでしょう。

大きめでラフに着てほしいアイテムです。試しに女性にも着てほしいと思います。

Caledoorには「ロングランブリング」と「ショートランブリング」の2つにカテゴリーがあります。

簡単に説明すると、

ロングは長い散歩なので、よりスポーティーな素材を

ショートは短い散歩なので、より街着に近い雰囲気と素材使い。

今回はショートに該当するので、バチバチに登山へ使えますという話ではないのですが、ファションアイテムとしての出来上がりが秀逸です。

イギリス軍のスモックをベースにしてデザインされている商品ですが、単純に紹介できない深みと凄みがあります。

生地は製品染めを施し独特な風合いに仕上げた、ドライタッチで速乾性のある綿麻ウェザー。裏地無しの1枚使い。

リネンをブレンドしていることで耐久性が増すとともに、ナチュラルな爽やかさを演出しています。

なんというか、見れば見るほどすごいプロダクトだと実感させられます。

やりたい放題やってると感じたのが、分かりやすく言えばこの生地の切り替え部分。

ボディだけで単純に片側6枚使い。

袖も3枚使いの切り替えです。

パーツ&縫い目が多い=ものすごく裁断と縫製に時間がかかる。糸もたくさん使う=コスト高すぎ。

こんな商品見たことないはずです。なぜなら現実的にコストの観点からできないのです。

こんなデザインを思いついても、商品の金額を算出した時にとんでもなく高くなるので実現させるのが難しいというわけです。

今回製品染めだからこそ、この縫い目のパッカリングがさらに生かされてしまってます。ちゃんと計算してます。

これがCaledoorです。

ファスナーもちゃんと選んでます。細部まで抜かりなし。これができるのも実はすごい。

絶妙な開きもすごく良いです。

裾には紐もあり、絞ることでシルエットも変えられます。

正面のフラップ付きポケットの他に脇前後にポケットがあり、計6個

こんなつくりをするには国内でも良い工場に依頼して、それなりの数を作らないといけないわけで、ここもまたやりたい放題やってるなあと感じる部分です。大手ならではの深みでしょう。本当にすごいつくり。

ガゼットに同系色のブランドロゴ刺繍が施されていますが、ここも品があっていいですね。

ちなみにショートランブリングならばここに飲み物や荷物を入れて散歩することができるわけです。

手ぶらで外出する人にとっては機能的ですごくありがたい作りです。スマホの充電器と文庫本程度を忍ばせておきましょう。

生地はそこまで分厚くなく、柔らかい仕上がりなのでこんな感じにまくって着るのもおすすめ。雰囲気いいです。

綿麻なので清涼感もあり、シャツ代わりに羽織っても良さげです。シャツ以上アウター未満の商品は春先にも最適。

サイズ感も大きいので、インナーで調整すれば長いシーズン着用もできるでしょう。真夏以外ならOK。

新しく取り扱いの始まったブランドの化繊パンツとの合わせも調子よく、こんな感じでちょっとした自然のある観光地へ行くのも良さそうです。

当然ですが、アウトドアウェアはアウトドア感が出てしまうわけで、アウトドアブランドのシームレスなウェアというのはシームレスにするためにはちょっとしたアレンジが必要と思ってます。

なのでこのただ羽織ってしまえばカッコいいスモックで、楽に自然と都市を行き来してしまいましょう。
例えば、こんな服を着て、山荘飯島から三軒茶屋くらいまでルート世田谷線を歩いて行くなんてのも楽しめそうです。
もしくはキャンプギア的に使って焚火で汚してしまう人がいれば、それも最高の使い方でしょう。

「PRODUCTS FOR RAMBLERS」 それがCaledoorです。

オンラインストアにも掲載しましたのでぜひご検討ください。

オンラインストアはここから

東京の登山用品店だからこそ、こんな商品を扱ってみるのも面白いと思いまして今季より取り扱わせてもらいました。山荘飯島だからこそできる方法で今後も真面目に紹介していきます。

そしてCaledoorにはメリノウールを使った製品もありますが、長くなってしまうのでそれは次回に紹介させて頂きます。登山文脈にもお馴染みの素材がこれからはよりファッションに昇華されていくだろう気配が漂っているこの頃です。

最後に・・・

「ユー セイム ヘアー!」 という言葉を駆使して、登山前に散髪へ。

このイカしたお兄さんと同じという意味だったのですが、髪質の違いでなんともアレに。でも帰国してからけっこう気に入っていました。イギリスと言えばバーバーだろうということで老若男女問わず訪れる大衆床屋に行けたのも良い思い出です。

またどこかへ旅行へいきたくなりましたね。生地屋時代はプライベート含めて楽しく自由に働らかせてもらったな~

ではでは思い出ブログはここで終わります。

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